このあいだ、以前から昵懇にしてるO先生から電話があった。すこしご無沙汰だったんだけど、半年前に母が亡くなったのを風の噂で聞いたのか、わざわざお悔やみのために。
まあ、母の葬儀は家族だけで済ませたこと、友人知人のお悔みも極力ご辞退申し上げたことなどを説明して、わざわざお悔やみいただいたことに謝意をお伝えした。、
とはいえ、それだけで済ますのもどうかっていうんで、一献傾けましょうかということで、連れ立って行ったのが新中国料理HARAKAWA。
まずは前菜。
HARAKAWAは、わが家の近所だから、これまで家族で食事に出かけることはあっても、家族以外の人と一献傾けるために行くっていうのは初めてのこと。で、コースを頼んだんだけど、それもまた初めて。だから前菜も、へぇ〜ってな感じで。
それから、次はおつくり。
たぶん鮃だったと思う。
この盛り付けを先に見せてくれて、あとは店の方が薬味と合わせてめいめいの皿に盛りつけてくれる。特徴的だったのは、別皿で香菜を勧めてくれたこと。
で、それまでは軽めの白ワインを飲んでたんだけど、ちょうど飲み干したところだったので、店の方にお勧めいただいた香菜に合うようなワインをセレクトしてってお願いをしたら選んでくれたのがこれ。
なんて読むんだろ? きっとロワールのワインかな。
まあ、読めなくても気にしないんだけど、ぶどうはたしかソーヴィニヨン・ブラン。
ヴィンテージが2015の割には色調が黄金がかってて、けっこう糖度の高い感じ。ヴァニラっぽいニュアンスと柔らかめの酸がけっこう個性を際立たせてる。
香菜にはシャープな感じのワインかなって思ってたので、少し意表をつかれたみたいで愉しい。
で、そんなふうにワインで愉しんでたら、スープが運ばれてきた。
松茸入りのふかひれスープ。
HARAKAWAはけっこうフカヒレの料理が多くって、このスープなんかはHARAKAWAのウリのひとつなんでしょ。
でも、中華風のスープで松茸に出くわすとは思ってもみなかった。実のところ、それぞれ別々に食べたいっていう本心は、なかなか口にはできないよなぁ。
それから、イカと野菜のXO醤炒め
XO醤は近年、香港から広まったとされる合わせ調味料で、ブランデーの最高等級のXOから命名されたんだとか。
つくり方は各店によってそれぞれで、干し貝柱とか金華ハムとか、高級食材がふんだんに使われてるんだけども、ぼく的にはどうも旨味が強すぎて少々ツライ。ちなみに、ブランデーのXOはあくまでもなまえだけで、実際には入ってないだとか。
それから、次は白身魚の姿蒸し。
広東風の姿蒸し。魚はたぶんガシラだったと思う。
イサキとかアコウとかもこんなふうに姿蒸しにするけど、やっぱりガシラがいちばん好きだなぁ。まあ、元はやっぱり桂魚なんだろうけどねぇ。
で、次のはコース外。O先生がオーダーした渡り蟹の春雨煮込み。
何度も書いてるように、ぼくは自称カニクイザルの生まれ変わりと常々言ってるんだけど、中でもワタリガニがいちばんの好物なわけ。でも、これには閉口。
使い捨ての薄手の手袋やハサミ、それに蟹専用のあの耳掻きみたいなのは用意してくれてるんだけど、やっぱり手づかみ。でも、手づかみで食べるのには熱いし、手がべたべた。もちろんフィンガーボウルもおしぼりも用意してくれたって、やっぱり閉口。ワタリはやっぱりそのまま蒸すのがいちばんイイワ。
それから、次がチキンのスモーク。
なんでも烏龍茶の茶葉でスモークしたんだとか。皮がパリパリで、北京ダックみたいな味を想像されるかもしれないけども、皮はその食感とスモーキーなフレーバーが主体であんまり味はついてなくて、手前の岩塩をつけていただく。
今回のコースではずっとグラスの白ワインで通してきたんだけど、唯一、赤ワインが飲めそうなのはコレ。なので、すかさずオーダー。
で、最後がイクラ炒飯。
この炒飯、食べるとなんだかフルーティな食感がある。
でも、店の方に聴いても首をかしげるばかり。中に入ってる叉焼の甘味じゃないかとか、いろいろ説明してくれるんだけどどうも腹落ちしない。炒飯自体はするする腹落ちするんだけどね。
で、デザートがジェラートとクリームチーズ。
ジェラートよりもクリームチーズがけっこう濃厚で、満腹ならちょっと苦しかったかもしれない。
というわけで、HARAKAWAのコース。
たびたびこの店は使ってるんだけど、今回は初めてコースを頼んだんで、ようやくこの店の核心に触れたような。
でも、やっぱり普段づかいで麻婆豆腐を食べるみたいなのが、ぼくらにはいいかもね。