つれあいの誕生日は2月だったんだけど、おかんの葬儀とかいろいろあって先延ばししてた。
お気に入りのフレンチ「アッシュ」に行くっていうのはだいたい決まってて、だったら、いつも行けてないシーズンのディナーを食べたいねってことで、きのうの夜に。
で、まずはアミューズ。冷製のフラン。
上に大阪茄子と沖縄産のもずくを乗せてあって、その上にウニをトッピング。
茄子ともずくが絶妙に混ざり合った食感。相性がこんなにいいとは知らなかった。
で、フッとウニの磯の香りがよぎる。
アミューズの余韻がいい。
それから、前菜の一品目。天使の海老と野菜のカクテル。
上からかかってるのは、エビ味噌のソース。
海老の頭はカリッと焼いてあるので、後でばりばりむしゃむしゃと食べる。
野菜は高知、夜須のフルーツトマトとズッキーニ。
意外にこのズッキーニがおいしかった。
で、前菜の2品目はフォワグラと林檎のソテー。それにレーズンパンが添えられてる。
今さらだけど、フォワグラに甘い林檎を合わせるっていうのはスバラシイ。
食べたことないけど、フォアグラとソーテルヌが伝統的なマリアージュって言われるのもこんなふうな感じなんかなぁって想像してしまう。
次は前菜の3品目、タンシチュー。
赤いルクルーゼを模したような器の蓋を取ると、四角くカットされたタンとじゃがいもが現れる。タンは余分なところをすべてそぎ落としたキューブっていう感じ。フォワグラでフワッとなった心をまたギュギュっと捕えるような味わい。それに新じゃがのマッシュクリームが添えられてて、さらにそのじゃがいもが横に。
じゃがいもの正体はインカのめざめ。これがまた、じゃがいものおいしいところを凝縮したような味わい。このタンシチューにはこれくらいの精鋭でないと務まらないよなぁ。
それから、前菜の4品目は、活け鮑と原木椎茸、十五穀米のリゾット。
耐熱フィルムで包まれて加熱してある、この店でおなじみの料理。
リゾットを覆う新若芽の下を探ると、カットされた鮑や椎茸に当たるんだけど、よく見ないとどちらか分からない。口に入れるとようやくそれが鮑なのか椎茸なのかが分かるっていうのは、ぼくだけなんだろか。
というわけで、前菜が終わって、魚料理。明石産の鰆。
クリームソースの上に鰆。上から新鮮なカリフラワーを薄くスライスしたのが乗せてある。さらにその上にカレーオイル。
魚篇に春と書いて鰆。きのうは真夏のような暑さで、名残の鰆ってな風情だったんだけど、臭みを飛ばすために強めにカリッと焼かれた鰆の中はまだまだジューシーで、さらにそこへカレーオイルがホワッと香る。で、重くなりがちなのをカリフラワーが救ってくれるっていう感じ。
で、続いて運ばれてきた桐箱入りのパン。
蓋を取ると、焼きたてのパンの芳ばしい香りがあたりに立ちこめる。
いつものように、あつく熱された石のプレートの上に小さなパンが乗せられてる。
これだけで独立したひとつの料理のよう。
で、それを前の鰆のソースにすこし浸して食べる。
とまらない。
結局、家族全員、この食べ方でパンを平らげてしまい、またおかわりを貰う羽目に。
で、そのおかわりのパンをいただくのは、この肉料理と一緒に。
ハネシタのロースト、発芽マスタードとワインのソース。ヤングコーンを添えて。
ヤングコーンは髭も一緒に食べると、すこし土臭さが残ってる。
でも、このハネシタの柔らかさはすごい。肉汁を湛えたままに焼かれ、カットされたハネシタを少しずつ切り分けて発芽マスタードとワインのソースを少しつけて食べるんだけど、できればこのハネシタ、岩塩だけでも食べてみたかったなぁ。
と、いろいろ愉しませていただいて、デザート。
デザートはアールグレイのプリンとラズベリーのアイスクリーム、それにいちごなど。
瓶入りのプリンは、ブリュレのような濃厚さ。
でも、それに増してすごいって思ったのはラズベリーのアイスクリーム。スプーンでスーッと切れる。この絶妙な温度。下のプレートはつめたく冷やされた石のプレートで、温度管理を注意深くコントロールしてるんでしょうが、あらためてすごいって思う。
で、最後はコーヒーを、フィナンシェとともに。
デザートの余韻が冷めやらぬ中で上の娘が言うのには、ここのデザートを食べるのがアッシュに来る最大の愉しみなんだそう。
たしかに、そうも言えるけど、きょうのは最初から全部よかったよなぁ。
で、きょうのは春のコース。わが家は冬に誕生日が集中してるので、ぼくらはいつも冬のコースしか味わえなかったんだけど、こうなると夏のコースも、秋のコースも食べてみたい。
誰と行こうかなぁ。