2月のかかり、久しぶりに岸和田の「露石」へ行ってきた。
このお店、完全予約で1年前に予約する。
で、今回はむかし、ぼくの上司だったUさんが取ってくれたんで。
入院してるおかんのことを思えば、少し気が引けたんだけど、1年前からの予約だったんで、これは断れないって判断したわけ。
で。まずは前菜から。
柚子窯ならぬ、オレンジの窯にエビやイカ、貝柱なんかを盛りつけてある。
それからいくら、穴子の押しずし、そして今回は鰆。
この構成、以前からそんなに変わってない。
ていうか、これがこの店のスタイル。
この日はフグが主役。で、いきなりの白子。
すごい迫力。焼餅のようにも見えますが。
で、お酒もいろいろと取り揃えていただいてるんですが、せっかくのフグですから、ワインで冒険するのもちょっとためらって、やっぱり熱燗にしよっと。
まあ、弱気というか、ビビりというか。
それでも、結果、これがよかったんだと思う。
やっぱり熱燗には、てっさです。
この日のフグは淡路の3年ふぐ。
ふつう養殖のフグはだいたい2年ものなんだそうですが、淡路の3年ふぐは文字どおり3年かけて育つわけで、2年ものの1.5〜2倍を超える大きさにまで生育するんだそう。
だから、てっさって言えば2〜3枚を一度に食べるっていうのが常なんですが、3年ふぐは1枚ずつ食べても存分にその味を堪能できるわけ。
だから、焼きふぐも唐揚げもデカい、すごい。
もちろん、ふぐもうまいんですが、このまん中に盛られたくわいの素揚げがスバラシクうまい。もちろん、くわいも炭水化物なんでしょうが、これはひとつ、ふたつ、もうひとつ・・・と箸が止まらない。
それから金柑。これがまた口の中をさっぱりとさせてくれる。
で、口の中がさっぱりとなった後には、ヒレ酒を。
ヒレ酒は、箸でヒレをはさみ火を点け、上下にざぶざぶとするのがいいんだそうで、そうして余計なアルコールをとばすのがいいそうで。
と、ヒレ酒を愉しんでると鍋の用意が調ったようで。
魚っていうのは大きくなれば大味になるっていうのも中にはあるんでしょうが、だいたいがうまくなる。
このふぐももちろん、2年ものよりも3年ものの方が味わいもぐんと増す。
しかも、それが大きなサイズなので、より舌鼓がうてるっていうもの。
だから、ふぐしゃぶ用に引かれた切身も、奥の取箸と大きさを較べていただくとよく分かるんじゃないかな。
で、これを鍋でしゃぶしゃぶと。
食べ方はほんとにシンプルなんだけど、これがベスト。
でも、そろそろ鍋も終わり。あとは漬物が大皿で。
これは自家製の漬物ではないんだそうですが、それを実直に言ってくれるところは店主の人柄なんでしょう。
で、しばらく待つと大鍋でお約束の雑炊が。
そして、最後がお口直しのデザート。
すっかり遅くなってしまった。
で、そのまま急いで病院へ戻ろうとしたんですが、電車にも乗り遅れてタクシーで。
結局はその日がおかんとぼくが二人で過ごした最後の一夜だった。
だから、正直に言うと、行ったことを後悔してる。
後悔先に立たず・・・だけど。