厨房男

こどもの頃に欠乏していた食の体験を取り戻そうとする厨房男の喰う・呑む・つくる・・・のはなし
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「おいしいものには理由がある」

2019-06-15.jpg「おいしいものには理由がある」。

こう書くと失礼かも知らないけど、題名はけっこうベタ。

で、中身は何かっていうと、日本でつくられてるすぐれた食の素材や調味料のルポルタージュ。

著者の樋口直哉さんは、料理人であり、作家でもある。

ふつう、よくあるグルメな小説家がこういうルポを書けば、薀蓄が必ず散りばめられてて、それがいかにうまく文章に溶け込ませられてても、なんだか鼻につく。いくらグルメであっても、料理人ではないですからね。

でも、この本にはそれがない。

いや、ないというか、つとめて抑制しようとしてる。料理人だから、自前の理論を振り回すことは、たやすい。でも、それをつとめて抑制しようとしてる。だから、すごく読みやすい。

卵にはじまり、まずは納豆。で、章立ての関係か、項目には挙げられていないんだけど、途中豆腐の話が挿まれてる。これがいい。ネタバレになるから書くのは控えるけど、ここからダダダと引きこまれた、ぼくのばあい。

それから醤油。さらに鰹に昆布。

ただ、牡蠣嫌いのぼくにとって、その次の牡蠣のところは少し醒めてしまう。

まあ、仕方ないですけどね。

でも、牡蠣嫌いのぼくにとってもおいしそうだなぁってなったのは、開高健の牡蠣の描写以来。たぶん、開高健のブンガク的な筆致に比肩するほど、料理人の視線で鮮やかに料理された現場取材のチカラなんかな。

それからルポは、海苔、佃煮を経て、短角牛、鶏肉、牛乳へと向かう。

そして最後はウスターソース、マヨネーズ。これがまたいい。

この本を締めくくるにあたって、最後にマヨネーズを持ってきたのは、筆者としての思い入れに違いない。

 

先にも書いたように、樋口直哉さんは、料理人であり、作家でもある。

小説のほうは未読なので、いずれ手に取ってみたい。

でも、おそらく、この才を活かせるのはこうしたルポルタージュのほうなんじゃないかな。

じっさいにも、活動はどうやら料理人の方に力点を置いてるようで、そういうわけでぼくが図書館に予約してるのは「新しい料理の教科書」。ちょっと楽しみにしてる。

 

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