厨房男

こどもの頃に欠乏していた食の体験を取り戻そうとする厨房男の喰う・呑む・つくる・・・のはなし
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「料理の四面体」

2017-07-15.jpg意外なことに玉村豊男さんの本を紹介してなかった。これまで、この方の本はけっこう読んでるんですがね。
この玉村さん、エッセイストとして有名な方なんですが、画家やワイナリーオーナーとしての貌も持ってる。まあ、人物像をきちっと認識してるわけではないけど、ぼく的には、食に関する造詣が深いエッセイストと認識してる。しかも食の造詣の深さは並ではない。なにせ東大仏文科からパリ大学言語学研究所に2年間留学、翻訳業を経て、果てはワイナリーオーナーにまでなる人ですからね。

で、その玉村さんの食に関する本としては最初か、それともずいぶん初期の本がこの「料理の四面体」。
料理をはじめてつくるときには、いわれたとおりにやらなければできない。
数多くの料理を覚え、ひととおりの手順を知るようになると、ようやく、こうやれば料理ができるのだという、料理の一般的原理が分かってくる。
しかし、そうなるためには年季がいるわけで、一発で料理の一般的原理を発見し、それを知ったらあとは次から次へと料理のレパートリーが無限に出てくるっていうような方法がないものか・・・
世界を旅して、いろいろなものを食べてみると、まったく違った姿の料理が次々に出てくるが、材料や調味料は異なるとはいえ、料理の方法じたいにはそう変わりはないのではないか・・・
そう考えていくうちに、料理の一般的原理を見つけることは案外やさしいのではないかと思いはじめたんだそう。
そんなふうなことを示す事例として、冒頭に引用された「アルジェリア式羊肉シチュー」が、「コトゥレット・ド・ムトン・ボンパドゥール」へと変異していく様は、なにかひとりの人物の顔が別の人物へと変異していくCGを想起させるような鮮やかなイメージを残してくれる。
そして、それをまた料理の四面体という理論に導いていくっていうのは、まさに鮮やかに料理したって感じですよね。
で、この四面体、正三角形が4枚合わさったかたちを想定してるんですが、底となる三角形の頂点には、それぞれ水、油、空気が位置付けられてる。で、それから立ち上がる三枚の三角形の最後の頂点には火が位置付けられている。
そして、たとえば火と空気を結ぶ稜線は、いちばん下が生もので、その上が干物、さらに上方にローストがあって、直火焼きと続いていく。これが油ならばコンフィからフライまで段階的な位置づけがあるんでしょうねぇ。
で、さらにこれが基本となる線的な位置づけなんですが、これが複合的になると面的な位置づけがあってさまざまな料理法がこのモデルのどこかにプロットされるっていう、そういう理論的な考え方。
この理論、20世紀を代表する思想家で「構造主義の父」といわれるレヴィ=ストロースの「料理の三角形」というキーワードが出発点になってるんだそう。
でも、たしかにその発想について類似点がありそうな感じなんですが、むしろ、先々月に紹介したアメリカきってのフードジャーナリスト、マイケル・ポーラン氏の「人間は料理をする」と比較するのがオモシロそうやとおもうんですが。


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