厨房男

こどもの頃に欠乏していた食の体験を取り戻そうとする厨房男の喰う・呑む・つくる・・・のはなし
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「まぼろしのパン屋」

2017-06-15.jpgぼくの本選びっていうのは案外カンタンでして、最近はまちづくりやデザイン関係の本以外となると、もっぱら食べ物に関連した本ばかりっていう傾向。
で、食べ物関連も、以前に紹介した「かもめ食堂」や「食堂かたつむり」などに共通する「食堂」っていうキーワードがとても重要。
そういう意味では、「まぼろし」なんていうことばにはすごく惹かれるタチでして、そこにパン屋がひっつけば、もう読まない理由がない。

というわけで「まぼろしのパン屋」。
舞台は大東京電鉄が開発したつきみ野っていうところ。ここは主人公の勤め先のある渋谷へ直結している路線の始発駅だったという設定。途中駅で乗ってくるサラリーマンたちの苦労を脇目に、座って渋谷まで通勤という優越感に浸ってたのが、後年路線がひと駅延長され、始発駅ではなくなった。
このあたり、ぼくが住んでるところも首都圏と大阪圏の違いはあるけど同じ環境。何年か前にひと駅延長されて始発駅ではなくなったっていうところも一緒。
ただ、勤め先の会社の開発事業が頓挫、政財界を巻き込むスキャンダルで責任者は左遷され、主人公がところてん式に出世する。まあ、このあたりは全く真逆の境遇ですが。
で、そんなある日、通勤途上に見知らぬ老女からパンをもらったことからどんどんと主人公の人生が展開していく。
パンをもらった老女は、開発で買収交渉をしたまま頓挫していた「しあわせパン」の亡くなった女主人。不思議な糸を手繰っていくと・・・っていうストーリィ。

こんなふうに読み進んでいくと、今はもう閉店してしまったわが家行きつけのパン屋「ルヴァン・ルヴュール」を想い起さずにはいられない。
主人公と住んでる環境が一緒、まぼろしのパン屋っていう設定も思い当たるフシがある。作者は大阪市大出身で、まるで設定を東京に替えて書いたんやないかなぁって思えるほど。
まあ、出世に関しては真逆ですし、主人公ちの秘蔵のワイン、シャトー・ムートンも上の娘が生まれた年のを買おうとしたけど、結局買わなかった(ちなみにこのワイン、買っておけば今頃20万円近くになってたんやけどなぁ・・・)。
まあ、そのあたり、似てる環境ではありますが、ビミョ〜に違ってる。宝くじの少しの番号違いみたいな感じで、惜しいなぁって思いながらもけっこう楽しく読めましたけども。


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