厨房男

こどもの頃に欠乏していた食の体験を取り戻そうとする厨房男の喰う・呑む・つくる・・・のはなし
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「人間は料理をする(下)」

2017-05-15.jpg皐月も中日も過ぎてしまい、本の話を。
去年9月に「人間は料理をする」の上巻を取り上げたんですが、今月はその下巻を。
ようやくというか、なんていうか・・・ま、やっぱりようやくなんでしょうね。

さて、上巻でも紹介したんですが、アメリカきってのフードジャーナリスト、マイケル・ポーランが挑んだ渾身の一作がこの「人間は料理をする」。
ポーラン先生は古代の四大元素である「火」(バーベキュー)、「水」(煮込み料理)、「空気」(パン)、「土」(発酵食品)について、それぞれの料理のオーソリティーに学び、訪ねた先で、あるいは家庭で、自ら豚を丸焼きにし、自然発酵のパンを焼き、チーズを作り、ザワークラウトを漬け、ビールを醸造します。
で、その体験に根差した思考と膨大な知見を織り交ぜながら仮説が展開されるっていうのがこの本のだいたいのパターン。でもって、上巻では、「火」(バーベキュー)と「水」(煮込み料理)なんですが、下巻は残りの「空気」(パン)、「土」(発酵食品)。
ポーラン先生は言います。「わたしは自然の産物をおいしい文化の産物に変えるさまざまな方法を学んだが、それぞれ世界との関わり方が異なり、自分になじむものもあれば、そうでないものもあった。ピットマスターは人々の前で、動物と火をうまく扱ってみせる。料理人は家で鍋に香草の風味を加える。どちらの料理も、わたしの人生の一部となったが、バーベキューをするのは特別な機会だけで、一方、鍋料理はもっと頻繁に作っている。しかし、すべての変化の中でわたしの心を最も強く捉えたのは、間違いなく発酵である。」と。
まあ、下巻はパンと発酵食品なんで、どちらにも共通するのが発酵ですからね。
もっとも、ポーラン先生はイイかもしれない。心を強く捉えてちょっと暴走気味な熱を帯びた口調。こと発酵に関してはそんな感じがするんですわ。
でもね、ぼくはやっぱり上巻のバーベキューの方がインパクトは大きかったなぁ。

ま、ともかく、ポーラン先生が実際にそれぞれの料理のオーソリティーに師事して学んだ中で最も重要なのは、料理とは「つながること」だということなんだそう。つまり、進んでそれを作ろうと決めたわたし(ポーラン先生)たちと、できあがったものを食べ、おいしければ喜んでくれる人々との関係だと。さらに「料理は人間の寛大さが最も美しい形で表出したもののひとつである。そして、最高の料理は、愛情の現れでもあるのだ。」とも。
このあたり、先月に紹介した「食べること 考えること」で、著者の藤原辰史さんが全く違ったアプローチにもかかわらず、最後に「みんなで一緒に作って、食べて、片づけることは、実に楽しく、美しい。」ということにたどり着いたのと重ねあわせるとなかなか興味深い。
そして、最後に訳者の野中香方子さんが取り上げたポーラン先生のことば、「愛する人のために、おいしくて栄養のあるものを用意することほど、利己的でなく、暖かで、有益な時間の過ごし方があるだろうか。さあ、始めよう」。

フフン、とっくにはじめてますよ。


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