厨房男

こどもの頃に欠乏していた食の体験を取り戻そうとする厨房男の喰う・呑む・つくる・・・のはなし
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「人間は料理をする(上)」

2016-09-15 000.jpg今月はもう中日も過ぎてしまいましたが、本の話を。

人間は料理をするっていうのは、なんていうか至極アタリマエのことなんですけども、こういう至極アタリマエな規定っていうのはアタリマエゆえにそれを語ろうとすれば膨大な知識や情報が必要となる。
そんなアタリマエのことにアメリカきってのフードジャーナリスト、マイケル・ポーランが挑んだ渾身の一作がこの「人間は料理をする」。
上下巻2冊で古代の四大元素である「火」(バーベキュー)、「水」(煮込み料理)、「空気」(パン)、「土」(発酵食品)について、それぞれの料理のオーソリティーに学び、実際の体験に根差した思考と膨大な知見を織り交ぜながら仮説が展開される。
もっとも、まだ上巻しか読んでないんで、その行く末は見定めてないんですけど、きょうのところは上巻の話だけ。
で、上巻は序章から「火」(バーベキュー)と「水」(煮込み料理)なんですが、やっぱりインパクトはバーベキュー。
数か月前に読んだ「エコノミストの昼ごはん」で、タイラー・コーエン教授がわざわざ1章を設けてアメリカのバーベキューのことを延々と語ってたんで、へぇ〜コーエン教授ってBBQラブなんやなぁって思ってたら、こちらはなんと1冊の半分以上を割いてバーベキューのことを語ってた。ポーラン先生、バーベキューのプロ「ピットマスター」に弟子入りし、豚の丸焼きに挑戦するんですが、バーベキュー原理主義に則り、じっくり時間をかけて、「生きた」オークとヒッコリーのチップで焼いたものは、ポーラン先生の人生を一変させたそうですから。
とまあ、恐るべきはアメリカ人のBBQラブでアリマス。
もちろん、ここでいうバーベキューはぼくらがアタマに描くアウトドアで気軽に肉を焼くあのバーベキューとは全然レベルが違う。
もっともバーベキューはアメリカの州ごとに様々に発展の道を歩んでおり、それぞれがその正当性を主張してるんだそうで、アメリカには「初めて会う人との話題に選んではいけないもの。それは政治、宗教、そしてバーベキューだ」というジョークまであるようで。
というわけでバーベキュー、なかなかひとくちでは言い表せないんですが、基本的には肉(大部分は豚)をオソロシク時間をかけて低温でじっくりと焼くというもの。遡れば生の肉を「火」で焼いて食べるっていう始原的な行為なんですが、それが料理の原点なわけで、バーベキューはまさにこの行為が直線的な進化を遂げたものと言えるのではないでしょうかね。
で、この「火」を使うことによって、人類は料理によって食物を消化吸収するために必要な時間から解放され、時間とエネルギーをほかの目的に使えるようになり、その結果人類の飛躍的な進歩がもたらされたっていうのがポーラン先生の展開する仮説。
ポーラン先生の考えが正しければ、ギリシア神話でゼウスの反対を押し切り、天界の「火」を盗んで人類に与えたプロメテウスがもたらした恩恵は、こんなふうにまで波及したわけなんですが、そんな高説よりも実際の料理を体験するくだりや、巻末のレシピの方に興味が向くのは、きっとぼくだけではないと思うんですが。ああ、それにしてもホンモノのバーベキュー、食ってみたいなぁ。


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