「カレーのきほん、完全レシピ」
毎月中日には本のことを書いてる。
基本的には食に関する本を紹介してるんだけど、最近読んでる本でいいなぁって思うのが、食以外の領域のが多いんで、ことしはここまで食から離れてしまってた。
なので、今月こそはというわけで、稲田俊輔さんの「カレーのきほん、完全レシピ」を。
著者の稲田俊輔さんは、南インド料理店「エリックサウス」の総料理長で、幅広いジャンルの飲食店のメニュー監修やレシピ開発を中心に、業態開発や店舗プロデュースを手掛けられてる。
でも、そうした氏のプロフィールよりも、ぼくにとって氏はフード・パラノイアの先達っていう存在。
フード・パラノイアっていうのは、ぼくが勝手に名付けたんだけど、三年くらい前に読んだ氏の本、「おいしいものできている」に出てくる「常軌を逸して食べることが好きな人」のこと。氏もその中のひとりだと自身で語ってるし、ぼくもじっさい、その性質を若干帯びてるかもしれないなぁってことで、その本で語られた氏の視点とオーバーラップすることが少なからずあって、そうした意味で、氏のことをフード・パラノイアの先達と思ってる。
だから、この「カレーのきほん、完全レシピ」は、「エリックサウス」の総料理長が書いた本っていうのもあるけど、フード・パラノイアの先達が書いた本っていう、親しみといいうか信頼感をもって接してた。
と、前置きが長くなったけど、この本に書かれてるレシピの構成は、「日本人にとってのカレーらしいカレー」、「インドならではの特色あるカレー」、そして、「レストランならではのカレー」の三つに大別される。
それから、特筆すべきは、ゆでた玉ねぎを主体に、カレーに不可欠な香味野菜や最低限のスパイスをあらかじめ合わせた汎用的なベースソース「オニオングレイヴィ」。
で、レシピ本はつくってナンボなわけで、どれにしようかと迷ったけども、まずはオニオングレイヴィのスペックを最大限に引き出す、シンプルながらインドカレーの基本技術が過不足なく詰まった、完成度の高いレシピということで、いきなりのレストランスタイル、「シェフズチキンカレー」を。
なるたけレシピに忠実に。
不思議(?)なことに、わが家にはカルダモンのホールもクローブのホールもあったりして、材料も大半は難なく。
ただ、ひとつだけ、カスリメティっていうのが近所のスーパーやデパートを捜してもとうとう見当たらなかったのがちょっと悔しい。
それから、レストランのカレーの難点は、家カレーのようにじゃがいもやニンジンをごろんごろんと入れるわけにはいかないってこと。なので、この日はじゃがいもを別に。
庭で穫れた北あかりをバターでソテーして。
もちろん、それだけでも野菜不足は補えないわけで、別にサラダも。
というわけで、フード・パラノイアの先達、稲田俊輔さんの「カレーのきほん、完全レシピ」から「シェフズチキンカレー」。
ぼくがつくったインドカレーの中ではトップクラスの出来栄え。
ただ、心残りは手に入らなかったカスリメティ。
氏がコラムで、「私がこういったタイプのカレーをお店で出すなら、ブラックペッパーをここに足し、カスリメティの代わりに香菜で仕上げるでしょう。」なんて書いてあるけど、そもそもカスリメティの味が判らなければそうしたアレンジはできないわけで、まずはなんとしてもカスリメティを手に入れないと。